最近、学生からよく尋ねられる質問がある。それは「学生の間に、学校現場でのボランティア活動に参加したほうがよいのでしょうか」というものである。結論から言えば、「Yes」と答えざるを得ない。現在は先生を目指す際に、学校インターンシップやスクールボランティアなどの実践をおこなっておくことが教育委員会からも求められているという実態がある。
先日実施された京都市の教員採用試験の志願書を見ても、「ボランティア活動歴」を記入する欄が設けられている。したがって、もし一度もボランティア活動をしていない場合は、この欄を埋めることができない。そこをみながら、採用担当者は「この受験者が学校現場のことをよく知っているかどうか」を判断する材料とするかもしれない。
実際に教員採用を担当する教育委員会の方の話を聞くと、ボランティア活動をしている学生は、していない学生に比べて一般的に以下の点において優れていると評されているようである。
学級経営や授業に積極的に取り組むことができる、
教師としての基本的な心構えができている、
教師としての自信をもって教壇に立っている、
子どもの心をつかむことが得手である、
講師経験者とそん色ない指導力をもっている、
児童・生徒の力を伸ばすことに意欲的である、
先輩教員や保護者と話す際の態度や言葉遣いがしっかりしており、同僚性が形成しやすい、などである。採用側は、短時間の面接などで「教師として適性があるか」をこれらの実践力の有無の観点から見抜こうとするわけである。
また、教育委員会によっては採用までにさまざまな実践的プログラムを用意し、それを所定の成績で修了した学生の試験を一部免除するといったものもある。例えば、京都府教育委員会が実施している「教師力養成講座」は、良好な成績でプログラムを修了し、さらに大学の推薦を受けた学生に一次試験免除を与える制度を採用している。
よって、学校ボランティアなどの現場体験活動が、教員養成を主とする大学を中心に積極的に取り組まれるようになってきている。しかし、学校現場に学生が入ることは、いい点ばかりではない。ボランティアをしていると、さまざまなことに疑問が生じるが、その時、誰にも相談せずに自分の想いだけで行動してしまうと、「これでやれるんだ」という思いから独善的になってしまう可能性もある。
現場体験活動は「教える立場」を経験できる貴重な機会でもある。近年は採用側の実践的指導力へのニーズが高く、この流れはこれからもしばらく続くであろう。しかし、学校現場に入るには、相当な覚悟が必要である。学校ボランティアに行くときには、安易に考えず、子どもたちと真摯に向き合い、現場の先生から謙虚に学ぶ姿勢をもって頑張ることが求められる。
『佛大通信』Vol.556(平成24年1月号)より転載

