体感京都 サントリー山崎蒸溜所を訪ね、ウイスキーの原点を知る
体感レポーター
社会学部 現代社会学科
  張 萍 教授

T A I K A N ・ R E P O R T

花器の中で繰り広げられる美の饗宴が
人と人との出会いを生み出す


鮮やかな青の水盤の中で壮大な宇宙観を表現する

 今回、指導していただくのは、次期家元である笹岡隆甫(りゅうほ)さんです。邸宅の敷地にある未生会館でいけばな体験は始まりました。
 体験するのは、初代家元である笹岡竹甫さんが考案した「盛花」という形式で、淡い赤のバラと笹竹を思わせるシペラスを使います。水を張った青の水盤を前に、まずはいけばなの歴史の説明を受けます。次に今回挑戦する「盛花」の説明へと続きました。「盛花」は2種類の花を使い、大きい方を「体」、小さい方を「用」と呼びます。体は太陽を、用は地球に生きる我々人間を象徴しています。熱心に聞いていた先生は「家庭で飾る簡単な花を想像していましたが、こんな哲学的な意味があるとは…」と驚かれた様子。でも心配は無用です。決められた「型」を身につければ誰でもいけられるのが、未生流笹岡。
 気を取り直し、実際にいけていきます。まずは大きい花からいけます。まっすぐなシペラスを2本選びます。メジャーを使って、ひとつは55cm、もうひとつは40cmに切ります。この2本が向かい合うように、水盤の中の剣山にさします。短い方を傾けて、ふたつの葉先と根元からなる直角二等辺三角形を作ります。実はこの三角形の等しい二辺と底辺の比は、1 : 1.414...で、A4などの用紙や建築の寸法などでも使われる安定した比率なのだとか。

理論に裏打ちされた美しさにうっとり

 大きなシペラスの形が決まったら、小さいバラに取りかかります。バラは3本使います。それぞれ30cm、20cm、15cmに切ります。いけた時に足下の葉が水に浸からないように葉を取り除いておきます。1番長いバラを水盤の底から20cmくらいの高さに蕾がくるようにさします。これと残りの2本で三角形をつくります。シペラスの三角形を太陽に伸びるようにつくるのに対し、バラの三角形は地を這うような三角形にします。
 一応「盛花」は完成しましたが、微調整が残っています。水に浸かった葉を取り除き、形の悪い葉は切りそろえます。これで完成です。さっきまで緊張していた先生は、「きっちりと寸法が決まっているので、初心者でも綺麗にいけられるのですね」と笑みを浮かべられました。先生がおっしゃるとおり、未生流笹岡では『花枝の寸法表』で全ての花の長さが決められています。驚くべきことに、全ての寸法は白銀比という理論的な根拠に基づいています。計算されつくした美に見とれている先生。「中国にも華道はありますがもっと派手ですね。盛花はシンプルですが独特の美しさを感じます」という先生の言葉に、笹岡隆甫さんも満足した様子でした。
 笹岡隆甫さん曰く「いけばなは単なる観賞用の花ではなく、人と人とのつながりをつくるもの」。美しい花を介して、張先生と笹岡隆甫さんの出会いが生まれました。

いけばなの体験 細心の注意を払いシペラスを選ぶ シペラスを剣山にさす
いけばなの体験で小宇宙や直角二等辺三角形などの言葉が出てきて、先生は少々戸惑い気味です。 なるべくまっすぐなシペラスを選ぶ先生。単純な作業ですが細心の注意を払います。 2本のシペラスを剣山にさします。やっといけばならしくなってきました。

バラの準備 バラを剣山にさす コツは直角二等辺三角形
綺麗にシペラスが仕上がったら、バラを切ります。シペラスと同様にちゃんと長さが決まっています。 棘に気をつけながら3本のバラを剣山にさします。シペラスと同じように直角二等辺三角形をつくります。

葉を取り除く 完成品
最後は水に浸かった葉を取り除きます。これで完成です。 完成したいけばなは、正面、左45度、右45度の3方向から見ると花が一直線になっています。この状態になっていると、いけばな全体に広がりが生まれるそうです。
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